研修会A
日程:8月26日(火) 13:10 ~ 14:25
講師:深澤 伸幸 氏
所属:松蔭大学
題目:応用心理学とエビデンス ― 組織におけるヒューマンエラーの低減に向けて ―
司会:上市 秀雄 氏(筑波大学)
心理学,とりわけ応用心理学においては社会との関係性が重視されます。一般に心理学においては分析研究が中心となっていますが,社会が求めるものはむしろ対策研究であり,研究結果が社会や組織においてどのように活かされるのか,という点が重視されます。
今回は「組織におけるヒューマンエラーの低減方法」をテーマとして取り上げ,お話しします。ここでは個人対策と組織風土という社会集団への2つの対策が中心となります。具体的にはヒューマンエラーの発生過程についてシミュレータ実験を通じて探り,ヒューマンエラーの発生過程を考えます(エラー行動という不可視の現象を可視化します)。次に個人対策としての危険感受性訓練法を実施した際の効果測定の研究をお話し,最後にヒューマンエラーをさらに低減させるための職場風土をより安全な方向へと向けるための研究をお話しします。
今回お話しさせていただきたい点は,客観的な事実やデータを基に分析研究を行うことに加え,対策研究までを視野に入れた研究を目指すことが,今後の応用心理学の発展に寄与するということです。ともすれば解釈中心の分析研究になりがちですが,若い研究者の皆様においてはエビデンスを基に対策研究へと踏み出していただきたいと思います。